院長日記

清心蓮子飲(漢方薬)のお話

2024年2月24日

ある日A子さんが受診されました。年齢は60歳代です。体力は普通程度。中肉中背で中間症からやや虚症。夜間の頻尿が主訴です。PM9時就寝し朝までに3回、4回と起きてトイレに行くそうです。そこで清心蓮子飲を服用していただきました。

清心蓮子飲の効能は製薬会社のツムラの添付文書には、体力中等度以下で、胃腸が弱く、全身倦怠感があり、口や舌が乾き、尿が出しぶるものの次の諸症、残尿感、頻尿、排尿痛、尿のにごり、排尿困難、などと書いてあります。

配合されている生薬は、麦門冬、茯苓、蓮肉、オウゴン、車前子、人参、黄耆、地骨皮、甘草の9種類です。

これらの生薬の(この処方における)期待される効能を列挙すると、
バクモンドウ=抗炎症
ブクリョウ=利尿、腎臓や膀胱の働きを助ける
レンニク=頻尿や尿失禁を抑制する、神経を鎮める
オウゴン=抗炎症、胃腸の働きを整える
シャゼンシ=抗炎症、特に尿路系の抗炎症
ニンジン=滋養強壮
オウギ=利尿、強壮、抗アレルギー
ジコッピ=抗炎症、血行促進
カンゾウ=抗炎症、免疫調節、消化機能促進

このような作用になります。

A子さんは、服用を始めたその日から、夜間の頻尿は治りました。それでも夜に1回はトイレに行くようです。また眠りの質が改善されて「ぐっすり寝られる」ようになりました。
また黄砂、PM2.5の季節には鼻炎に悩まされ、毎日ごく軽度の鼻出血を認めていましたが、それも8割9割方改善されています。これは「奇跡のような」体験談でしたね。

漢方薬には現代医学から見れば理解を超えたような効果があります。例えば私は以前、腱鞘炎で2ヶ月以上も悩んでいたのですが、ある漢方薬で「溶けるように」治ってしまいました。痛みが治ったのではなく「治癒してしまった」のです。

漢方薬の効能は、正式の治験ではなく、数百年の「口コミ」の上に成り立っているようなところがありますから、体験談はとても大切です。ただ体験談には不確定要素がたくさん含まれますから注意が必要です!

清心蓮子飲がA子さんの夜間頻尿に大変効果があった。 また期せずして熟眠効果も得られた。 さらにはA子さんの金属アレルギーによる黄砂鼻炎にも著効したと言う一例報告でした。