院長日記

星の王子さま サン・テグジュペリ著について

2023年12月22日

今年もあと一週間ですね。色々な出来事がありました。私の場合、3月に病気で入院したのが一番大きな事でした。ICUに3日間、一般病棟で5日間と短期間でしたが大きな体験でした。
そこで今日は読書感想文を書いてみようと思います。テーマはなぜか「星の王子さま」です。最初は岩波少年文庫で出版されたようで、子供向けなのかも知れません。私の場合は「オーディブル」という朗読アプリで聴いています。
なぜこの作品が気になるかというと、それは私の入院体験と重なるからです。小さな飛行機でサハラ砂漠に不時着した作者の体験と、私のICU入院体験はとても似ています。私の場合はサン・テグジュペリに比べたらちっぽけなものです。望洋とした無人の砂漠、ヒトの住処から1000マイルも離れている漆黒の闇に取り残された体験と、心臓発作が起こり始めてから5時間で救われ、危険な症状は10分前後だった私の状況とは雲泥の差です。ただ、漆黒といっても、地上は真っ暗でも空には月や星々もあって、作者にはそれを美しいと思える気持ちもあったようなのですが。
そのサハラ砂漠で、作者は「王子さま(リトルプリンス)」に出会います。王子は太陽に輝く麦の穂のような美しい金髪を持ち、彼の命ははかなくて、優しい蛇の毒で苦しまずに、もとの星に帰って行きます。ですから、今私が見上げるどこかの星には王子がいるし、王子が別れてきた大切な薔薇の花がいます。(薔薇ではないかも知れませんが)。ですから、空の星々は鈴のように笑っているのです。

作者は、サハラに不時着して一週間分の飲み水しかない中、奇跡的にエンジンを直すことができて助かりました。彼は恋人と別れてきたのでしょうか。また彼の命は、実は、救いの蛇の毒に助けられて星へと帰って行った王子の命だったのでしょうか。4つの棘で身を守る王子の花は、作者の恋人のことのように思えます。

飛行機で砂漠に落ちると、あるいは心臓発作でICUに収容されると、私たちの持ち物は「思い出」だけになります。一輪の花の思い出だけになります。また、^_^そこでは自分のはかない命にも出会うことができます。
だけど助かってしまうと、また「忙しい、忙しい」自分に戻ってしまうのですけどね。
考えれば、クリスマスや新年は本当の自分、つまり星の王子さまに出会える時かも知れませんね。
メリークリスマス、そして良いお年をお迎えください!!

(全く調べずに書いたので、作者や作品についての誤解があればご容赦を!)