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甲状腺の検査

甲状腺ホルモン(T3、T4)は全身の代謝をつかさどっているホルモンです。
T4はプロホルモン(ホルモン前駆体)です。血中での半減期は7日であり、すべて甲状腺に由来します。
T3は活性型ホルモンであり、血中での半減期は1日。80%は甲状腺外でT4から 作られます。
甲状腺ホルモンは血液中ではほとんどが蛋白と結合していますが、実際にホルモン作用を示すのは、蛋白から遊離した遊離ホルモン(FT3、FT4)など です。(Fはフリー、すなわち遊離型の意味です)
甲状腺刺激ホルモンTSHは下垂体ホルモンの一種で、甲状腺の活動をコントロールしています。

○甲状腺ホルモンの過不足;
遊離T4(FT4) とTSHにより判定します。甲状腺中毒症では遊離T3(FT3)の測定も有用だとされています。

例えばバセドウ病では、FT4の上昇とTSHの抑制が認められますが、これだけではなく、さらに病因診断のため他の検査が必要です。

○TSH←FT4の関係;
ネガティブフィードバックの関係にあります。FT4が過剰になるとTSHは抑制され、FT4が不足するとTSHが増加します。このように、下垂体・甲状腺系にはFT4を正常範囲に保とうとする機能が備わっているので、たとえFT4値が基準値内であっても、TSH値が異常の場合には、潜在性の甲状腺ホルモンの過不足を考える必要があります。また、TSHの変動は、甲状腺ホルモンに対して1〜2ヶ月遅れることも忘れてはなりません。

○サイログロブリン(Tg);
甲状腺濾胞細胞で作られる糖蛋白です。このTgから、ペルオキダーゼの作用によって甲状腺ホルモンが合成されます。Tgは臓器特異性が高く、甲状腺癌、バセドウ病、先天性甲状腺疾患など、さまざまな甲状腺疾患で異常値を示します。 また、甲状腺分化癌(乳頭癌、濾胞癌)の治療後のマーカーとして使われます。

○抗サイログロブリン抗体や抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体;
自己免疫性甲状腺疾患の診断や甲状腺機能低下症の予後予測に使われます。

*抗ペルオキシダーゼ抗体(抗TPO抗体、TPOAb);
慢性甲状腺炎(橋本病)、萎縮性甲状腺炎(粘液水腫)、バセドウ病、無痛性甲状腺炎などで上昇します。
この場合には、さらに抗サイログロブリン抗体、TSHレセプター抗体などを調べて 病因を探る必要があります。
慢性甲状腺炎では、抗TPO抗体と抗サイログロブリン抗体の両者が陽性のことが多く、バセドウ病では抗TPO抗体は陽性でも、抗サイログロブリン抗体が陰性のことが多いとされています。

*甲状腺ミクロソーム分画は甲状腺ペルオキシダーゼであることが1980年代に判明しています。

○TSH受容体抗体;
甲状腺機能異常の病因診断の上で重要です。バセドウ病の予後予測、甲状腺眼症の診断、胎児・新生児甲状腺機能異常の予測と診断に使われます。

*甲状腺刺激ホルモンレセプター抗体
(TRAb、TSH結合阻害免疫グロブリンTBII,TSH受容体抗体、TSHレセプター抗体)バセドウ病で上昇します。また慢性甲状腺炎(橋本病)のうち甲状腺刺激阻害 抗体(TSBAb)を有する例などで上昇します。
この検査では、TSHレセプターと結合してTSHと似た作用を発揮する抗体(甲状腺刺激抗体TSAb)と、TSHとTSHレセプターとの結合を阻害する阻害抗体(甲状腺刺激阻害抗体TSBAb)の両者が検出されるので注意が必要です。
バセドウ病で、この検査値が高度(50%〜55%以上)であれば、抗甲状腺薬内服による治療では治癒が難しいとされています。
また、この検査が陰性であれば、亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎などを考えます。

*甲状腺刺激抗体(TSAb、TSH刺激性レセプター抗体)
バセドウ病、内分泌性眼球突出症、亜急性甲状腺炎などで上昇。
培養甲状腺細胞を用いて行う検査であり、甲状腺刺激活性をよく表します。
バセドウ病眼症の診断には、この検査がTRAbより優れているとされています。

*上記のTSAbとTSBAbの両者を有する場合は、結果が基準値へとシフトする場合が有るので注意が必要です。

甲状腺の疾患の症状は見逃されやすく、定期的な検査が必要だとされています。
特に甲状腺疾患が多く認められる35歳以上の女性では、少なくとも5年に一度の検査が推奨されています。

以上、さまざまな血液検査について記載しましたが、ご参考になさってください。

 

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