お知らせ

フォークト(Vogt)・小柳・原田病

聞きなれない病名ですが、当院かかりつけの方にもこの病気の方がおられます。

「ぶどう膜炎(特発性ぶどう膜炎)」という項目に分類される疾患です。

ぶどう膜は血管膜とも呼ばれ、眼球の外膜と内膜の間の中間の膜で、虹彩、毛様体、脈絡膜などの総称です。
色素が多くブドウのように見えるのでこの名前が付いています。
ぶどう膜炎が起きると、炎症は上記の三つの部位のみならず、強膜や網膜、視神経などに波及する場合が多く、この部位の炎症も含めてぶどう膜炎と呼ばれます。ぶどう膜炎は、前部ぶどう膜炎と後部ぶどう膜炎に分類されます。

ぶどう膜炎を起こす疾患は、ほとんどが原因不明で、特発性ぶどう膜炎と呼ばれますが、その原因疾患としては、強直性脊椎炎、若年性関節リウマチ、サルコイドーシス、全身感染症、交感性眼炎、そして、フォークト(Vogt)・小柳・原田病(V-K-H病)などがあげられます。V-K-H病の治療法はサルコイドーシスに準じて行われます。

さて、V-K-H病ですが、この病気の原因は「メラノサイトに対する自己免疫疾患」であるとされています。
東洋人に多い疾患で、若い女性がかかりやすいとされますが、高齢者や男性にもよく見られます。

自己の免疫システムがメラノサイト(メラニン色素細胞)の多い組織である、ぶどう膜(眼球)、皮膚、毛髪、耳石(内耳の平衡感覚をつかさどる組織)、髄膜などを攻撃してしまいます。

●症状

○前駆期
髄膜炎症状;頭痛、頭部知覚異常
内耳症状;めまい、耳鳴、感音性難聴
全身症状;吐気、嘔吐、感冒様症状

○眼病期
急激な両眼の視力低下、視神経乳頭の発赤、腫張、
多発性の漿液性網膜剥離、
(急性両眼性ぶどう膜炎)

滲出性(漿液性)網膜剥離は普通の網膜剥離と異なり、手術の必要はなく内服薬や注射薬で治療します。

回復期
脈絡膜の色素脱失(夕焼け状眼底)、
角膜輪部に色素脱失
皮膚や頭髪の色素脱失、

●検査
血液検査;HLA-DR4陽性、CRP上昇
聴力検査;内耳性、感音性難聴
髄液検査;白血球増多(リンパ球主体)
蛍光眼底検査;網膜の色素の異常

●治療
○サルコイドーシスに準じる
○早期ステロイド大量(点滴)療法、プレドニン内服
○目の局所治療;散瞳剤、ステロイド点眼、ステロイド結膜下注射など、
リンデロン点眼液、ミドリンP点眼液、デカドロン注射(結膜下)
○重篤な場合;免疫抑制剤;シクロフォスファミド、クロラムブシルなど。

●合併症
白内障や緑内障の合併に注意。
フォークト・小柳型;炎症が強く、白内障や緑内障を起こしやすい。
原田型;眼底にのみ病変、予後良好

●遺伝体質
この病気においては、すべての人がHLA;DR4を持ち、DR4を持つ人の一部が病気になるとされています。
発病の引き金は、ウイルス感染、ストレスなどとされています。

メラノサイトは、ただ単に「色素を持った細胞」ではなく、皮膚表面でカーテンやブラインドのような役割を果たしています。
紫外線が強くなると、さっとメラニンの覆いで紫外線を防いでくれます。
その機能が落ちると有害な紫外線が表皮を通過してしまいます。
紫外線の防護に注意し、皮膚の老化を防ぐこともとても大切ですね。

また初期の診断も重要で、後頭部の神経痛かな?帯状疱疹の始まりかな?といった病初期の知覚神経異常をを見逃さないようにしたいものです。

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