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劇症型レンサ球菌感染症(TSLS)

別の項目で溶連菌感染症をとりあげましたが、これはその病気の特殊なタイプです。溶血連鎖球菌の感染により突発的に発症し、急激に敗血症から敗血症性ショックを起こし、多臓器不全におちいる重篤な病気です。テレビなどで「人食いバクテリア」などと 報道され、ごぞんじのかたもいらっしゃるかもしれません。

1980年代に初めてアメリカで報告された病気で、日本でも1992年から年間数十人程度の発症を認めています。
ほとんどがA群の溶連菌により起こり、原因菌はA群のT-1,3,28,22型 などが多いのですが、近年では、B群、C群、G群なども報告されています。

症状は、まずインフルエンザのような咽頭痛、発熱、手足の筋肉痛 などから始まりますが、すぐに軟部組織への感染(壊死性の筋膜炎)にまで進み、そのころには患部に激しい痛みが起こります。
続いて、手足の壊死、敗血症、血圧の低下、ショック、多臓器不全へと進行していきます。その経過は早く、24時間から72時間で病状はどんどん悪化します。年齢は、30歳代から70歳代の成人に多く見られ、死亡率 は30%〜50%と非常な高値を示しています。

一般の溶連菌と劇症型溶連菌の菌種や毒素の違いはまだわかってません。
違った毒素が存在するのか、あるいはかかった人の体質の違いで病状が 異なるのかなど、今研究されているところです。
発熱毒素は8種類に分類されますが、B+C型、A+B型、B型、A型、などの 関与が報告されています。また劇症型A群連鎖球菌のゲノム(全遺伝情報) も解読されてきており、劇症型において、遺伝子の組み換えが起こってい る可能性が示唆されています。

●病原を突きとめるために;
血液、脳脊髄液、胸水、腹水などからA群連鎖球菌を検出します。
培養された菌はβ溶血あるいはα溶血を示します。(A群以外もあり)

●治療は;
ペニシリン系抗生物質(アンピシリンなど)の大量投与。クリンダマイシン、免疫グロブリンなどの投与。壊死軟部組織は菌の生息部位になっているので、 壊死病巣に対する処置が必要です。

風邪やインフルエンザのような症状から、このような手足の激しい痛みに進む場合には早めの受診が必要です。
また、危険因子として、悪性腫瘍、肝障害、管理不十分な糖尿病、そして 妊娠分娩時などが挙げられています。

他にも似た症状の疾患、たとえばA群レンサ球菌による軟部組織炎(丹毒)、ブドウ球菌などその他の菌による敗血症または敗血症性ショックなどとの鑑別も必要です。

まれな病気ですが、発症した場合には緊急の救命治療が必要です。

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